私は、10年程で病院勤務した後、訪問看護に携わるようになりました。直接、家庭・家族の中に入り支援させていただくので、同じ疾患の方でも関わり方はそれぞれです。

 疾患からの症状・状態の観察把握、内服の相談や助言、リハビリ的な事、清潔に関する事、排泄に関わる事、傷のお手当、点滴等の医療処置・管理、今後考えられる事(床ずれ・肺炎・拘縮・嚥下不良等々)の予防、精神的支援、ご家族の体調や精神面の支援などの活動をしています。


 今実際、パーキンソン病の方 4名受け持っています。一生付き合わなければならない病気で進行性、病気のことだけをみたらいいことが思いつかないかもしらません。その中で、『楽しい』『嬉しい』と思える事がたくさんになれば・・という思いで関わらせて頂いています。
 
 ある方は、普通にお話すると早口で発音も悪く、聞き取れないことが多く疎通困難でした。基本的な口の体操や発声は実施しても、なかなか・・・の状態。ある日、「歌が好き」とのことで、発声練習で歌を歌ったところ おどろくほどはっきりとお上手に歌われたんです。それに伴い表情も明るくなり、お話も積極的になりました。ご家族から「楽しみにしてるみたい。」との言葉も頂きました。

ご主人を看られている奥様は、「だれに言っても分からないし、お父さんを怒っているみたいだから、自分が悪者になる。」とよく言われていました。比べられるものではありませんが、【看ておられる側のほうがたいへんだ】と思うこともあります。

奥様の立場や状況・心情はよく理解できるので労い、全て吐き出すまでお相手させて頂くと、「これで一週間がんばれる。」とにっこりされます。その瞬間の充実感はプライベートでも味わえないものです。


 疾患は違いますが、関節リウマチで 寝返りも自力では出来ない方に言われた、私の宝物の言葉を紹介させて下さい。その方は数年前までお花の先生でお花が大好きでした。その季節の花の写真を撮り状況を話し、花の名前を教えてもらい、冗談を言って『たくさん笑わせる』ことを目標に関わりました。数年経ったある日 

「病気しても悪いことばかりじゃないね。病気しないとあなたと会えなかったもんね。」


事実、私たちは病気を治すことはできませんが、楽しみ・喜びのお手伝いになればいいな・・!!!



             訪問看護ステーション ハートネット
                    看護師  池田 たまき