平成
29223日、ウィリング横浜で開催された『第19回・医福ネット港南』に参加してきました。18:3020:45と遅い時間でしたが、在宅医療や介護等に関する100名以上の方が参加されていました。

 

○第一部(講演)

1.『高次脳機能障害 ~ 若年層の支援に困っていませんか?』

講師:横浜市総合リハビリテーションセンター 高次脳機能障害支援センター

   副センター長 高岡 徹 先生

 

2.『高次脳機能障害の相談と支援について』

    講師:横浜市高次脳機能障害支援センター

       支援コーディネーター 渡邊 崇子 先生

 

○第二部(交流会)

『医療・介護・福祉連携交流会』



講演1

講演1の内容は、①高次脳機能障害の原因、②高次脳機能障害の診断、③高次脳機能障害の対応、④若年脳卒中等について述べられていました。


 高次脳機能障害の若年層は、
40ないし45歳までの若年脳卒中や脳外傷などの脳損傷の方で、就労や社会参加、就学、就労といった参加レベルでの目標を立て、支援を継続することが重要となっています。医療や介護保険での支援継続が十分考慮されておらず、困っている方も多い様子でした。


 高次脳機能障害の症状としては、①問題を指摘されても気にせず、困ったことはないという。②自発的な行動がみられず、すぐ疲れたと横になる。③数分前の事を忘れている。④課題に集中して取り組めない。⑤話題が変わっても話についていけない。仕事の計画が立てられず、効率が悪い。⑥気になる事があると繰り返し・実行する。⑦いったん思い込むとなかなか修正できない。⑧ちょっとした事ですぐ怒ったり、いらいらする。等がみられるとのことです。


 高次脳機能障害は、手足の障害と違い目に見えにくい障害のため、他者には理解しにくいものであり、行政的高次脳機能障害の範囲が、失行、失認、他の認知障害、行動障害、情緒障害等となっています。

支援に際しての留意点は、出現する障害が多彩なため、医療以外のチームメンバーと共に、より包括的なアプローチが必要であり、家族への障害理解の促進、対応方法の指導等が重要とされています。

復職に際しての職場の問題は、職場との調整やコミュニケーションが重要であり、医療職だけでは困難な状況となっています。また、高次脳機能障害者の社会参加も、医療機関や就労支援施設単独では上手くいかないため、他機関・他職種が関わり互いに緊密な関係を築いていくことが必要との事でした。





講演2

講演2の内容は、高次脳機能障害を抱える方に対する高次脳機能障害支援センターの役割や相談支援等について述べられていました。

 高次脳機能障害支援センターでは、復職や社会参加に向けて、支援コーディネーターが相談支援やリハセンター機能との連携、関係機関との連携等を行っています。相談窓口として、横浜市内に10ヵ所の高次脳機能障害専門相談拠点があります。

専門相談とは、高次脳機能障害に関してのお困りや事やこれからの生活や活動について、相談を受ける事業であり、中途障害者地域活動センターと横浜市高次脳機能障害支援センターのスタッフが対応しているとの事でした。


交流会

交流会は、立食形式で施設紹介等を行ない、多職種同士での交流を行いました。在宅医療・介護・福祉に関する情報交換や多職種間の連携強化を図るための交流の場となっていました。



講演参加者

今回の公演は、若年層の高次脳機能障害を持つ方の診断や支援等について、とても分かりやすい内容でした。本人・家族・他機関・他職種との関わり方の必要性を強く感じました。また、相談支援を行っている拠点が、近隣にあること等の良い情報を得る事もできました。この知識を生かし、今後の仕事にも役立てていきたいと思います。次回の医福ネット港南は、平成29525日に開催予定となっています。在宅医療・介護に関する知識の向上等にもなるため、興味のある方はぜひ参加してみてください。



PT矢野